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タワシノート

言いたいことがうまく口で言えないから書くことにした

「マイドヨルの妄想族」をやってみた(前編)

ジャニーズWEST ♯マイドヨルの妄想族

マイPちゃんのブログにて募集されている「マイドヨルの妄想族」企画に参加してみました。

四つお題があるのですが、三つ目のお題がまだ書いてる時点ではありますが、結構長くなってしまっているので、二つに分けることにしました。今回は前編です。

お題写真はマイPちゃんのブログにてご確認いただければと思います。

 

kstk.hateblo.jp

 

 

写真1. クマのぬいぐるみが机に向かっている写真

 

生まれつきの重い病気にかかっていて、人生のほとんどを病院で過ごす男性・照太(ショウタ)がいた。

「先生、僕の病気は治りますか?」

と訊いても、主治医の先生は、

「わからない。けど、きっと治る」

そう言うばかりだった。不自由なことが多い彼だが一つ夢があった。

それは「学校の先生になりたい」という夢だ。

なかなか登校することが出来ない彼のために、小学校の先生がわざわざ勉強を教えにやってきてくれていたのだ。先生は、途中で学校を退職し、学習塾を経営しながら、ショウタに小学校以降の勉強も教えてくれている。

「僕もいつか先生みたいな立派な先生になるんや……絶対に!」

その夢のおかげで彼はつらい治療も受けて生きていた。

ある日、容体が急変した照太は意識不明におちいり、その際に魂が体から抜けてしまう。

 

「ん?」

照太が次に目を覚ますと、病室ではない見知らぬ部屋にいた。ハンガーにかかっている服や、化粧品や香水など置いている物から推測して、女の子の部屋のようだ。

「どこやここ」

体が動かせず、意識だけが働く。ぐるっと見渡すとどうやら自分は机の上にいることがわかった。

「なんで机の上に……?」

そして視線は横に置いてあった鏡へ。ようやく自分の姿を見る。

「なんやこれ! ぬいぐるみ……?!」

なんと体がくまのぬいぐるみになっているではないか。

しかし、どうすることもできずにいると、この部屋の主・高校生の蛯子 朝陽(えびし あさひ)が帰宅する。

 

夜十一時をまわった頃。

「さぁて今日も勉強頑張ろう」

朝陽は勉強机に向かう。今彼女がやっている教科は数学。

数分も経たないうちにシャーペンの動きが止まり、教科書とにらめっこしはじめる。

「うーん、わからん……」

悩む彼女に照太は思わず、

「そこは公式使うんや」

とぽろっと呟く。すると、

「えっ?」

朝陽がこちらを見ている。

「えっ?」

照太は「まずい!」と口を塞ぐ。ついに体も動けるようになっていたのだ。

「くまくん、喋った? 動いてた?」

「そう、みたいやな」

照太が静かに答えると、朝陽は目を大きく開いた。

「……ギャアアアア!」

「朝陽! どうした!?」

朝陽の悲鳴に父親が部屋を勢いよく開ける。

「ご、ごめん! 虫やと思ったらゴミやったわ。あはは!」

「なんやもう人騒がせやな」

そう言って父親は部屋を後にした。


父親が階段を降りていくのを確認し、朝陽は照太と向き合い、頭を下げた。

「……叫んでもうてごめんな」

「いや、まぁ、普通ぬいぐるみが動いて喋ったらそうなるわ。こちらこそびっくりさせてごめん」

「なぁなぁ! なにがどうなってんの?」

「信じてもらわれへんかもしれへんけど」

そう前置きして、自分の名前、闘病していること、意識失って目が覚めたらこのクマの中にいたこと、昼間は動くことも出来なかったことを説明した。

「そうなんや……」

「僕の体はどうなってるかわからんけど、このクマの中にいさしてくれへんかな?」

「うちにも魂抜くことできひんし、そのまま居ってくれていいよ」

「あ! もちろん、着替えとか見ぃひんから!」

照太が手をバタバタさせながら言うと、「あはは!」と朝陽は腹を抱えた。

「そんな必死に言わんでも! もし見られたくない時はふとんの中に入れるわ」

「ありがとう」

「その代り言うたら変やけど、照太、うちよりも年上やんか?」

「そうやな」

「うちに勉強教えてや。勉強苦手やねんけど、どうしてもドヨル大学に受かりたいねん」

「ド、ドヨル大学!?」

照太は思わずひっくり返る。ぬいぐるみゆえに、ころんと後ろに倒れた様子が大変愛らしい。朝陽は手で照太を元の姿勢に戻す。

「ドヨル大学言うたら、三本の指入るくらいの難関大学やんか!

「そうだよ?」

「なんでそんな一流大学目指してるんや?」

そう聞くと、朝陽の頬が一瞬にして赤くなった。

「……好きな先輩がそこに通ってるねん」

「は、はぁ……」

「先輩と同じ大学入って、もっと仲良くなって、卒業式の時に言われへんかったうちの気持ち伝えたい、それだけやねん。ごめんな、下心しかないよな……」

「いや、まぁ……うん。でも、先輩と同じ大学に入るっていう夢、叶えたいんやろ?」

「夢て……そんな大袈裟な」

苦笑いしながら、手を横に振る朝陽に、照太はいたって真面目なトーンで、

「それも充分夢とちゃうかな? もしかしたらそこで将来の夢も見えるかもしれんし」

と言う。朝陽はその言葉を聞き、一瞬ぽかんと口を開けたまま止まったが、すぐにはにかむ。

「そやなぁ。うち、将来の夢とかなりたい職業全然ないから一緒に見つかったらええなぁ」

「よし! ほんなら、ドヨル大学目指して頑張ろう」

「うん!」

この日から朝陽と照太の二人三脚の約半年間に渡る長い戦いが始まった。

 

照太は日没~日の出しか動けず話せないため、夜、朝陽が眠りにつくまで勉強を教える。

時には厳しく、時には優しく朝陽のわからない箇所を徹底的に教えていく照太。

そのおかげで、朝陽はメキメキ成績あげていく。

しかし、あるテスト結果が出た日。

「ごめん」

朝陽は肩を落として帰宅した。

「成績……イマイチやった」

照太はテストの解答用紙を見て、

「うん。確かに前より少し落ちてしまってるな」

と顎に手を添える。「けど」と言葉を続けて、

「落ち込むことない。続けることが大事なんや。下がったわー言うて勉強するのやめたらそこから一気に落ちる。今回は思ったよりアカンくても、諦めたらあかん」

「……ありがとう」

その後、成績は再び伸び始めて、ついに偏差値がドヨル大学圏内に突入することが出来た。

 

だが、そんな矢先、帰宅して早々、朝陽は大粒の涙を流している。

日が落ち、動けるようになった照太はすぐに朝陽のもとに駆け寄る。

「どうしたんや」

わんわんとただただ泣き続ける朝陽。

「泣いてたらわからん……」

「ほっといてよ!」

そう言うと朝陽は枕で顔を覆う。

「……わかった。話したくなったら言うてくれ」

数時間後、ようやく泣き止んだ朝陽が照太を抱えながら口を開いた。

「あのね、今日街歩いとったらな先輩見かけてん」

「うん」

「先輩に『お久しぶりですね』って声かけよう思って、近づいたんよ。そしたらな、よう見たら横に女の人おってん」

「えっ」

「仲睦まじそうにな、手をぎゅっと絡ませて歩いとった」

朝陽の目にまた涙が溢れ始める。

「もう大学行ってもなんもない」

その一言に、

「努力をなかったことにしようとすんなよ」

照太は思わず大きな声で言う。

「見返したるくらいの気持ちで大学行ってみせろや。『あーやっぱりこいつと付き合えばよかった』って後悔させたるくらいかしこくて可愛い女性になったったらええがな! 一つ崩れただけで全てを消そうとすること、それだけはやめぇや……」

朝陽は泣きはじめた。照太はそれ以上何も言わず、彼女のそばを離れなかった。

 

次の日から、朝陽は気持ちを切り替え、再び勉強をはじめ、ついに受験当日を迎える。

二日に及ぶ試験が無事に終わった日の夜。

「……二日間どうやった?」

照太はおそるおそる聞く。

「自分が今までやってきたこと、全部出せたと思う。杭はないわ」

「そうか。それならよかった」

「おいおい、気ぃ抜くなよ! ちゃんと宿題しぃや!」

 

その翌日から、照太の体に異変が起き始めた。

宿題を教えながら、照太が眠りこけることが多くなった。

「照太?」

「ごめん、寝てた」

「そんな眠いの?」

「んーなんかな。昼間寝てるはずなんやけど」

この時、照太は口には出さないものの、薄々気づいていたのだ。

自分がもうすぐ消えることを……。

 

結果発表前日。

「照太、明日だよ。めっちゃ緊張する」

「……なぁ、お願いがあるんやけど」

「なに?」

「俺も一緒に会場に連れてってくれ」

照太は自らの消滅まであと少しだということを朝陽には告げるつもりはなかった。

ただ、もし帰宅するまでに意識が完全になくなってしまい、結果を知れないのは嫌だと思ったゆえの願いだった。

「でも、昼間動かれへんやん」

「動かれへんけど意識はある。だからかばんに入れてってくれ」

いつになく、真剣な声色で話してくる照太を少々不思議に思いながらも、

「それでいいんやったら、連れていくわ」

朝陽は快諾した。

 

翌日。照太をかばんに入れて、朝陽は会場へ向かった。

カバンの外から漏れ聞こえる歓声と悲鳴が入り混じっている合格発表会場の独特の雰囲気を照太も感じていた。

すると、朝陽はカバンを開けて叫ぶ。

「照太……あった! うちの番号あったわ!」


二人の努力は身を結び、無事に朝陽はドヨル大学に合格することが出来た。

 

その夜。

「やっと動いて話せるわ。朝陽、合格ほんまにおめでとう。ようこの半年頑張って勉強したな」

「ありがとう。これも照太のおかげやで」

「僕は手助けしただけや。問題解いて合格掴んだんは自分自身の力や」

「教え子が喜ぶ瞬間に一緒に立ち会えるってこういう気分なんやな」

「なにしみじみしてんの。これからも一緒やろ?」

「ごめん。どうやら僕はここまでのようなんや」

朝陽から一瞬にして笑顔が消えた。

「えっちょっと……そんなん突然すぎるやん……」

「泣くなよ」

「泣いてへん、泣いてへんわ」

「あほやな、目ぇ真っ赤やで」

朝陽はなにも返さず、ぼろぼろと大粒の涙を落としている。

「僕が人間やったらかっこよう涙拭いたれるのにな。ごめんやで」

照太はポンポンと柔らかな手で朝陽の頬を撫でる。

「いやや! 行かんといてよ! もっと一緒にいてよ!」

「ごめんやで。大学でも頑張るんやで。元気でいてや。ありがとう――」

感謝の言葉を詰めてそう言った瞬間、魂がクマから消えて、その場にくたっと倒れて、ただのぬいぐるみに戻った。

 

その後、朝陽は、

「照太のような優しさも厳しさも持つ先生になりたい」

と、頑張って大学で四年間勉強して中学校の先生になる。

「今日から一人教育実習生来るんや。とりあえず、学校の案内したらなアカンねんけど、お願いしてもええかな?」

「あ、わかりました」

職員室の外に出ると、一人の青年が立っていた。

「はじめまして。今日から教育実習でお世話になる山中です」

「えっ」

聞き覚えのある声に、朝陽は呆然と男性を見つめた。

「照太……?」

朝陽が問うと山中はにこっと笑う。

その後意識を取り戻した山中照太は病気を克服し、大学へ進学し、教育実習生として朝陽の務める中学校へやってきたのだ。

今にも泣きそうな朝陽の髪を優しく撫でてこう言った。

「夢、見つけたんやな」

朝陽は大きく頷いて、再会を喜んだ。

 

 

<解説>

書きながら、これはばどの二人のどっちかがやってくれたらいいなと思って書いてたけど、結局結論は出なくて。名前も2人の名前から取りました。

ハッピハッピーなベタなんにしてみました。少女漫画テイスト全開。

 



※2個目、グロというほどグロではないけども、苦手な人もいるかもなので注意

写真2. 部屋中に散らばる戦闘服

 

とある村に三人の少年がいた。

一人は釣りが好きな少年、ダイ

その横で熱心に石を拾っている、トモ。

そしてそんな二人を見ながら絵を描くトモの弟、ノン。

彼らはいつものように町のはずれにある川辺で遊んでいた。

すると、ざくざくざくと砂利を歩く音が聞こえ、三人は顔を向ける。

軍服に身を包み、深くかぶった帽子で顔を隠した男たちがこちらへやってきた。

「なんだよ、お前ら」

代表してダイが言う。

軍服を着た男たちの一人が一歩前へ出た。

「先刻、お前たちの町は俺たちが占領した」

「は? 何言って……」

「お前たちは俺たちの奴隷として、国に連れて帰る」

その一言を合図に、男たちは三人を捕まえた。

三人は暴れて抵抗するも、向こうは戦いのプロだ。

敵う相手ではなく、そのまま殴られ大人しくさせられ連行される。

その途中に映る景色は信じがたいものだった。

なぜなら、自分たちの育った町は、数時間の間に変わり果てていたからだ。

建物は元の形をなくし、まだ残り火が燃えているところもある。

足元を見ると、顔がわからなくなるほどに殴られて息絶えた人が横たわっていた。まだ幼さを持つ三人には恐怖と絶望が襲いかかり、寒気を感じている。

そして、自分の家族も、友達もみんな殺されたのだと考えると、胸が締めつけられる思いだった。

「着いたぞ。車が到着するまでここにいろ」

そう言って、どこかの民家の物置きにぶち込まれる。

薄暗い倉庫の中、三人は手と足をロープで縛られ、放置された。

「ダイ、ノン」

「なんだよトモ」

「どうしたの?」

「手、ちょっと動かせるよな?」

「ああ、動かせる」

ダイは動かして見せる。

手にしていたのは石だった。

楕円型で、薄っぺらく尖っている。

「水切りに使うために何個か拾って後ろのポケットに持っていたんだ。これ使ってロープ切れ」

そう言って落とさないよう慎重に二人に石を渡す。

「それで、あそこに落ちている戦闘服着て、窓から逃げるぞ」

トモがあごで指した場所、一か所は床。そこに戦闘服と防具一式が乱雑に脱ぎ捨てられていた。胸元に軍服の奴らがつけていたエンブレムが刺しゅうされてある。

もう一か所は物置きの上部。換気のための窓が開いている。子どもの彼らなら余裕で抜けれるサイズで、ありがたいことに木樽が階段のように積みあがっていて、楽に窓にたどり着ける。

これで助かるかもしれない。希望の光が見えた喜びから三人は、さっきのやつらが来るかもしれないという緊張状態とも戦いながら、必死にロープに石をこすりつける。

そして、

「切れたよ!」

「俺も切れたぞトモ」

二人はついに手が解放され、足に巻かれていたロープも外した。

「そうか。ならお前らは早くそれを着ろ」

「うんわかった」

ノンが戦闘服に手をかけた時だった。

「トモ……なにやってんだよ」

ダイがトモのことをじっと見て呟く。

「なにがだ」

「お前、ロープ切れてないじゃないか」

その言葉にノンもトモの方を見た。

二人がロープを切っている間、トモは切っているふりをしていたのだ。

「服が二着しかないからな」

「そんな……トモ兄ぃ……」

「お前らは早くそれを着て逃げろ」

「ぼくがロープ外すから!」

「バカやろう! 俺一人、私服だったらすぐにバレちまう」

「けど! ダイちゃんもそう思うよね?」

振り向くと、ダイは黙って服の上から戦闘服を着始めていた。

ノンはダイの胸ぐらを掴む。

「ダイちゃん、トモ兄ぃ裏切るのか!?」

「ここで着替えないことこそが、トモを裏切ることになる」

「でも」

「早く着替えろ!」

ダイはノンの腕を乱暴に振り払い着替えに戻る。

ノンはトモの顔を見る。

トモは表情も無のまま、口を一文字に締めている。

数分後。

「着替えた。ノンは?」

「……うん、着替えた」

二人は振り返り、トモを見た。

「お前ら、結構似合ってるぞ。カッコイイ」

トモは歯を見せて無邪気に笑う。いつもと何ら変わらないトモの笑顔にノンの目には涙が浮かぶ。

「トモ兄ぃ……」

「二人ともまたな」

「おう、またな」

ダイは震える声で答えて、袖で目をこする。

「トモ兄ぃ……トモ兄ぃ……」

「さぁ、行こうノン」

ダイは後ろ髪引かれるノンを無理矢理先に木樽を登らせ、そして窓から脱出した。

物置きの外にも樽が積んであり、怪我することなく降りた。

そして、すぐ横の森の中を分け入っていく。

「ノン、足元気をつけろよ」

「……うん」

「とりあえず、今の状況を隣町に伝えに行くんだ。隣は大きくて、軍隊も強い。あそこなら俺たちを助けてくれる」

「……そう、だね」

ノンは力なく相槌を打った。

 

何十分か経った時だった。

静かな森の中に突如発砲音が響き、音に驚いた鳥たちが一斉に空へと飛び立つ。

「まさか……!」

戻ろうとするノンを羽交い絞めする。

「トモの気持ち汲めよ……!」

「いやだ、いやだよ! さよならなんて……やだよ!」

「今は進むぞ」

 

ダイは泣いているノンを半ば引きずるように、一晩中、山を駆け抜ける。

しかし、森に終わりは見えない。

その上突然降り始めた豪雨が気温を一気に下げ、彼らの体力を奪う。

下を向いて、気をつけるように歩いていたが、ノンが足を踏みしめた地面が突然崩れ落ちた。この豪雨で地盤が緩んでしまっていたのだ。

「ノン!」

ノンは全身を強く打ちつけながら勢いよく転がり落ちる。

幸運にも流れの速くなっている川に入るぎりぎりのところで止まった。

ダイは斜面を駆け下りてノンを抱き起す。

「ノン! 大丈夫か」

「足……折れたみたい……動かない」

荒くなる息を整えながら声を絞り出すノン。額には脂汗が浮かんでいる。

「待ってろ。俺がおんぶしてやるからな」

「先に行って……」

「は……?」

「僕は後で行くから」

「何言ってんだ……! 歩けないだろう!」

「とにかく、ダイは町を、見に行って……」

そのノンの姿にトモを重ねる。

さっき自分がノンに散々言ったじゃないか。

気持ちを汲め、と。

「隣町に着いたら、誰か呼んでくるからな!」

ダイは、ノンを川から少し離れた場所に移動させ、一人で隣町を目指す。

 

やっとのことで、ダイは隣町の近くに着く。

しかし、

「おかしい……誰も歩いてないし、何の音も聴こえない……」

ダイは異変を感じ取っていた。このままノンのところまで引き返すか、進むか。

悩んだ末、やはりノンを助けてもらうには誰か他の人の力が必要だと判断し、隣町の入り口へ足を踏み入れる。

そこに、活気づいていたはずの隣町の姿はなかった。

建物は崩れ落ちていて、がれきの山を作り、焼け落ちて焦げた木と共にたくさんに人の死骸が倒れている。

その姿は、自分の町と全く同じ状態だった。

風に乗って漂う血の臭いと焦げた臭いに、こみ上げる吐き気に手を押さえてダイは呟く。

「まさか隣まであいつらが……」

そこへ一人の男がこちらへ歩いてきた。

「すいません! あの!」

「お前ら……!まだ俺たちを殺す気だな……!」

ダイの声を遮るように男は叫んだ。

ダイは自らのミスをここで思い出す。

そう、ダイは敵のエンブレムが付いた戦闘服を着たままだったのだ。

「違うんです! 俺は!」

「死ねぇぇええ!」

男はダイの頭めがけスコップを振り上げた。長旅の疲れから避けきれず、ダイはスコップに当たってしまう。よろけるダイに男は狂ったように奇声をあげながら、執拗に攻撃し続けた。

男はダイが頭から血を流しぐったりと倒れたのを見ると満足したように笑みを浮かべてその場を立ち去った。

遠ざかる意識の中、ダイは、今はなき故郷を思い出していた。

自分の家族、親戚、村の人々、学校と順番に流れて、最後は川辺にたどり着く。

川辺にトモとノンが立っていて、ダイに手を振っている。

「トモ……、ノン……」

そして、力なく笑った。その数分後には、ぴくりとも動かなくなっていた。

 

十年後。

たくさんの聴衆を目の前にし、演説台に立った男性。

「私は幼いころ、兄と友人を戦争で亡くしました」

その一言でスピーチを始めた男性――あの時、骨折し動けなくなったノンである。

ノンはダイの帰りを待っていたものの、痛みに耐えきれず意識を失った。

雨が止んだのを見計らい釣りをしにやってきていた、どこの国や町にも所属しない、境目にひっそりと住む家族に助け出されていたのだ。

意識を取り戻したノンは、何が起こったのかをこの家族から聞かされた。

とある大きな軍事国が水面下で計画してきていた侵略計画を実行。

その国により、自分の町も、隣の町も壊滅したこと、誰一人町人は生きていないことを知る。

ノンは悲しみのあまり涙さえ流せず、ただただ壁を殴った。

「こんなことって……」

その後、ノンはこの家族の一員となり、勉強をし、政治家となった。そして、大混戦の大統領選挙に打ち勝ち、この日就任演説を行っているのだ。

「戦争をなくすため、私は政治家になり、この座にのぼりつめました。もう血も涙も流すことのない世界を築くために私は大統領として命をかける所存であります!」

割れんばかりの拍手が会場に鳴り響く。

会場の一番奥、少年二人が笑顔で手を叩いている。

「トモ兄、ダイちゃん……」

ノンは溢れる涙をこらえた。

この先の明るい未来を作るまで泣かない、そう決めたからだ。

 

 <解説>

大好きなものはコメディ且つハッピーエンドなので、こういう話はあまり書かないのですが、浮かんだもんはしゃーないので書いてみた。書き慣れてないのがにじみ出てるかな……うん……。


後編、近日中に上げる予定なので、よかったら……!